噛み合わせの治療法

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噛み合わせによる身体への影響

私が歯科医師になりたての時に、歯がしみるという症状でしみ止めを塗って様子を見ていた患者さんのしみ具合がどうしてもよくならないので、当時の上司の指導を仰ぎ、神経を取る治療をしたことがあります。神経を取ったのでしみる痛みはなくなりました。しかし、その後のセミナー等で長い目でみると神経を抜いた歯は脆くなり、歯の寿命が短くなってしまうデータを拝見致しました。神経を残せるチャンスがあれば、それにこしたことはないです。

しみる原因も様々でして虫歯でしみることもあれば、噛み合わせで強く当たり過ぎること(咬合性外傷)で起こることもあります。過去そのような方をみて、当たり過ぎている場所を調整しただけで劇的にしみ具合が改善した方は何人もいらっしゃいます。

湯島なかがみ歯科では全体の噛み合わせのバランスを口腔内スキャナー等で確認し、不具合があれば治療の相談をさせていただきます。

噛み合わせが悪いと、単にしっかり噛めないというだけではなく、健康に様々な影響を及ぼしてしまいます。主な症状として、知覚過敏・歯のぐらつき・歯槽膿漏・歯周病・虫歯・顎のずれなどがあり、これらはあらゆる歯科疾患の原因となる恐れがあります。

顎のずれは、そのまま顎関節症につながるので、ひどくなると顔の左右のバランスを崩してしまいます。見た目が悪くなるだけではなく、顔の歪みがそのまま全身の歪みを引き起こしてしまいます。こうなると全身のバランスが悪くなるので、結果として偏頭痛や肩こりなどの原因になってしまいます。

このように、噛み合わせのずれは咀嚼だけに影響を及ぼすだけではなく、全身の健康にも大きく関係しています。

また、一般的な見方で良い噛み合わせは「歯並びの良さ」を想像してしまいます。しかし、良い噛み合わせと見映えの良さは必ずしも一致しない場合もあるのです。

噛み合わせの悪さが歯槽膿漏、
むし歯、顎関節症などの原因に

一般的に“歯の欠損”や「歯が揺れる」といった症状は、虫歯や歯周病が原因と思われがちです。たしかに歯周病になると歯ぐきが弱くなり、ぐらつきが発生するので、原因の一つであることは確かです。

しかし、虫歯になったり歯周病を引き起こしたりする根本の原因が、噛み合わせの悪さによって起こることも少なくありません。

たとえば過去の虫歯治療が原因で噛み合わせが悪くなるケースがあります。複数の奥歯の虫歯の治療を行った際に、詰め物や被せ物の高さが低いと、噛み合わせの負担が増し、被せ物の高さが高くなると、歯の割れなどの原因となる場合もあります。そのため治療の際に噛み合わせがしっかり調節されていないと、後々影響が出てきてしまうのです。

また治療時に噛み合わせが良いと思っても、徐々にぐらついてしまうケースは少なくありません。そこで定期的な噛み合わせのチェックが必要になります。

さらに、歯に過重な力がかかってしまうと歯槽骨が溶ける場合もあります。こうなると歯ぐきが下がってきて、歯根が露出してしまいます。その結果知覚過敏になり、耐えがたい痛みを起こす場合もあります。

「歯に過重な力がかかる→噛み合わせが悪くなる→歯のかけや歯槽骨が溶け始める」このような状態になることを歯科用語で、「咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)」と呼んでいます。噛み合わせの悪い状態を放置していると、結果として顎の位置がずれてきます。こうなると顎の関節に大きな負担をかけてしまいます。特に前述したように低い噛み合わせの場合は、顎の関節の動きが多くなるため、関節への負担が強くなってしまいます。その状態が進むと、顎関節症を引き起こしてしまうのです。

噛み合わせの悪さが
偏頭痛や肩こりを引き起こす

噛み合わせの悪さは顎のずれや顔の歪みを生じさせます。それが結果として全身の歪みを引き起こしてしまいます。そうなると、体のバランスを崩してしまうので、偏頭痛・肩こり・めまい・腰痛・耳鳴りといった様々な体の不調を原因となってしまいます。

噛む力は想像以上に強く、一般男性で60kg、女性でも40kgの力とされています。その力の源となるのが顎の筋肉です。

俗に噛む力が強いというのは、顎の筋肉の強さとイコールです。顎の筋肉は、首や肩などの筋肉と連動しています。そのため、噛み合わせのずれで、筋肉に偏った力がかかるようになると、血管や神経を圧迫してしまいます。

そうなると、偏頭痛や肩こり、腰痛などの疾患を発生させてしまうことになるのです。

体の防衛本能によって、噛み合わせのストレスを解消しようとすることが、結果として体のバランスを崩すことに直結してしまうのです。

肩こりや腰痛だけの症状を見ると、整体院に行きがちですが、一時的に痛みが緩和されることがあっても根本の原因である噛み合わせの悪さが解決したことになってないので、噛み合わせの悪さが原因である以上、整体院に何度通っても症状が全快することはありません。

噛み合せ治療の基本と治療の目標

噛み合わせの治療は、噛み合わせの位置の修正と顎の位置の改善の2本立てとなります。

上下の歯がしっかりと噛み合わさることで、顎の位置も安定できると思ってしまいがちですが、必ずしもそうとは言い切れません。

まず、噛み合わせの位置と顎の位置が別のものということを考えてみます。安定した顎の位置を歯科用語で「中心位(ちゅうしんい)」と呼んでいます。そして上下の歯が噛み合う位置を、「中心咬合位(ちゅうしんこうごうい)」と呼んでいます。なんとなく同じように聞こえますが、基準はまったく違っているのです。

中心位は、上下の歯を噛み合わせていない状態で筋肉がもっともリラックスした状態の顎の関節の位置のことを指します。ですから、噛み合わせを一切考えていません。このことから、上下の歯をしっかり噛んだ状態の中心咬合位とはまったく違うことがわかります。中心咬合位を安定した噛み合わせ、あるいは理想的な歯並びと思う人も少なくありません。

しかし、噛み合わせのバランスが崩れていても、噛んだ位置が中心であれば、それが中心咬合位になります。

以上のことから、正しい噛み合わせの位置は、中心咬合位ではなく、顎の位置の基本である中心位で決まるということになります。噛み合わせが正常な場合、中心位と中心咬合位の位置は概ね一致します。

安定した噛み合わせの基本
(犬歯誘導)

中心位を安定させるのは、歯の噛み合わせです。この基本となるのが、犬歯誘導(けんしゆうどう)です。糸切り歯によって噛み合わせの位置を決めます。

例えば噛み合わせが悪い、あるいは違和感を感じることがあっても、数日すると何も感じなくなってしまうことがあります。これは、単に慣れてしまって、痛みや違和感を感じなくなってしまっているのです。自分で違和感を感じないので放置してしまいがちですが、それでも、前述の通り体のバランスを崩してしまうのです。

そこで気になるので、歯科医院で受診すると、前歯の糸切り歯(犬歯)での噛み合せ関係が安定していないということがわかります。

つまり犬歯誘導が確立していないことが関係しているということです。

噛み合せが安定していない方の
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